慈「店員さん、これ、この靴!これと同じの探してるんですけど!」
店員「あー…このモデル。もう製造中止になりまして、当店でももう取り扱いは」
慈「製造中止!!??」
店員「相当なロングセラーですがさすがに10年以上も経つと」
店員「長い間売れた分、ファンも多いので今ではプレミアも付いているみたいですね」
慈「い、いくらくらいなんですか!?」
店員「新古品だとだいたい200万円くらいかと」
慈「に……っ!?」
店員「スニーカーはプレミアが付くと数百万も珍しくありませんからね」
慈「……ほんとだ。ネットで調べてもとんでもない価格がついてる」
慈「だめだ。さすがに何百万円もお金ないし買えないよ…るりちゃん」
慈「……」
慈「新しい靴、買おっかな」
梢「め、慈!? 大丈夫?」
慈「だ、大丈夫大丈夫。おっかしいな、練習で転んだのなんて久しぶり」
梢「本当に大丈夫なの?また怪我なんてしたら」
慈「梢は心配性だなあ。私のこと大好きか。ホントに大丈夫だから」
梢「ならいいのだけれど…」
慈(ホント、練習で転んだのなんて久しぶり。…なんか、こう)
慈(足元がしっくり来ないんだよね)
慈「ぐえっ」
慈「ウボァー」
慈「ダメだ、脚が追いついてこない!」
慈「やっぱりあの靴だ、るりちゃんから貰ったあの靴じゃないとダメなんだ」
慈「でも200万円なんて大金ないし…ああ、もう!めぐちゃんがお金持ちだったなら」
慈「……お金持ち」
慈「……あの、さ。こんなこと言うの、ちょっとどうかとは思うんだけど」
慈「……お金、貸してくれない?200万円くらい」
梢「は?」
慈「……新しい靴、買いたくて」
梢「最近、新しいスニーカーに履き替えていたと思うのだけれど」
慈「あれじゃダメなの!るりちゃんから貰った靴と同じのじゃないと…!」
梢「…慈。落ち着きなさい。靴は確かにパフォーマンスを発揮する上では大切よ。でも靴は靴なの」
梢「あなたの言うようにあの靴でなければダメ、なんていうことはない筈よ」
慈「お願い、何でもするから!!」
梢「何でも……?」
慈「で、できる範囲なら」
梢「なら、脱ぎなさい」
慈「!?」
梢「何でもすると言ったのは慈、あなたよ」
慈「こ、梢っていつもそうだよね!めぐちゃんのこと何だと思ってるの!?」
梢「何とでも言うといいわ。さあ、どうするのかしら」
慈「……わ、わかった。脱ぐから。だから」ヌギヌギ
梢「あの。どうして服を脱いでいるのかしら?恥ずかしくないの?」
慈「え?」
梢「靴を脱いで欲しいのだけれど……」
梢「脱がないのかしら?」
慈「え。いや、まあ。脱げって言うなら脱ぐけど。この靴いらないし」ヌギヌギ
梢「ふぅ。まったく」──スッ
慈「えっ!?こ、梢、この靴って…!?」
梢「ふふ。あなたにピッタリね。シンデレラ、と呼ぶには慈は少しワンパク過ぎるかしら?」
慈「この靴、るりちゃんから貰ったのと同じモデル……なんで」
梢「そろそろボロボロになっていたから買い替えの時期かと思っていたのよ。新しい靴を買っていたから不要かと思っていたのだけれど」
梢「無駄にならなくて良かったわ」
慈「だ、だから何で!?」
梢「復帰祝いと思ってちょうだい。……ブランクの分、もっともっと練習してもらわないと困るのよ」
梢「ええ、そうしてちょうだい」
梢「……これで、瑠璃乃さんだけのプレゼントでは、なくなったわよね?」
慈「え?なんて?」
梢「何でもないわ」
梢「さあ、練習しましょうか。今日は転ばないように注意しなさい?」
慈「ちょっと誰に言ってるの?この靴さえあれば、めぐちゃんはどこにだって飛んでいけるんだから!」
慈「この、宝物の靴があれば、どんな所にだって──!!」
梢「……」ニコニコ
正直>>5までしか考えてなかったからこれで完!
これ今回は靴だったけど以前にも雑にヤってそう
慈には内緒にしておかなくてはね
製造元は抑えたし、現在流通している同モデルはすべて買い占めた…
私以外に慈に靴をプレゼントできる人間はいないってことね
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