梢「あら……花帆さん、もう起きてきたの?」
花帆「早い時間に寝ちゃったせいで、なんだか変な時間に起きちゃいました……えへへ」
花帆「梢センパイこそこんな時間まで起きてたんですか?」
梢「綴理の配信に顔を出して、母への報告を済ませた後に仮眠を取ったのよ」
花帆「えーっ!?配信してたんですか?あたしも出たかったなぁ……」ションボリ
梢「ふふっ、気持ちよさそうに寝ていたから起こすに起こせなかった、とさやかさんが言っていたわ」
花帆「うぅ……確かにそれは起こしづらいかも」
梢「すぐ近くの海岸よ、そろそろ辺りが暗くなってくるから手を繋ぎましょう」スッ
花帆「あっ、はい!」ギュッ
花帆「それにしても夜の海に一人で……!梢センパイ、あたしで良ければ悩み!聞きますよ!」フンスッ
梢「悩みが無いとは言わないけれど、あなたが想像している程深刻ではないわ!」アセアセ
花帆「あははっ、ていうか流れで付いてきちゃってますけど……お邪魔じゃないですか?」
梢「誰か起きていたら誘おうと思っていたから、付き合ってもらえると嬉しいわね」
花帆「それは良いですけど……何するんですか?」キョトン
花帆「随分おっきなシートですね!」
梢「ここで横になって流星を見ようと思って」
花帆「流星……?わっ!ホントだ!今何か横切りましたよ!」ピョンピョン
花帆「遠くの方にもちらほら人が居る……みんなこれを見に来てたんですね」
梢「ペルセウス座流星群と言って、ちょうど今頃がピークになるから見に来る人も多いの」
花帆「あっ!それ聞いたことあります!実際にしっかり見るのって初めてだから楽しみです!!」ワクワク
花帆「はーい!失礼します、よいしょっと」ネソベリ
花帆「わあっ、凄い……」
梢「視界一面に広がるこの星の海だけでも圧倒されてしまうわよね」ニコッ
花帆「波音を聞きながら星を見上げる……何だかオシャレ!」キラキラ
梢「ほら、そろそろ目が慣れてきたのではないかしら」
花帆「あっ!梢センパイ!あれ!今の見えましたか!?」
梢「ふふっ、ちゃんと見えているわ」
花帆「綺麗……ホントに星が流れてるんだ……」
梢「その時に見たペルセウス座流星群の景色が忘れられなくて、できる限り毎年見るようにしているの」
花帆「へぇー……梢センパイの思い出の風景なんですね!」
梢「そうね……その時に見た一際強い輝きを放つ火球が、脳裏に焼き付いているのだけれど」
梢「この目で見られたのは、後にも先にもその一回だけだったわ」
花帆「火球……?火の玉……?」
梢「簡単に言ってしまえば、流星の中でも特に明るいものの呼び名ね」
梢「ええ、一目見れば違いが分かると思うわ」
花帆「へぇー……あたしも見てみたいなぁ……」ポケー
梢「そうね……見られると良いわね……」ポケー
花帆「…………」
梢「…………」
梢「別に構わないけれど……どうかしたの?」ギュッ
花帆「ずっとこの景色を眺めてたら……夜空に落ちちゃいそうだなって、ふと思ったんです」
梢「ふふっ、随分ロマンチックな表現をするのね」
花帆「あーっ!笑いましたね!?いろんな本を読んでるとそういう言い回しをちょいちょい見るから、それを思い出しただけですー!」プンスカ
梢「ふふっ、ごめんなさい……でもそうね、それなら固く握りしめているから安心して頂戴」ギュゥッ
梢「普段から鍛えているんだもの、花帆さんを星の海に落としたりなんてしないわ」ニコッ
花帆「梢センパイ……///」ギュッ
花帆「わっ……!今のって――」
梢「見て!花帆さん!今のが火球よ!」
花帆「はい!見えました!!凄い……!しかも緑色の光が……!」
梢「あれは流星痕ね……!火球のような明るい星が流れた跡に現れやすいのよ」
花帆「そうなんですね……!何だか色といい梢センパイみたい……」
梢「私はそんな大層なものじゃ――」
花帆「わあっ!もう一つ!!」
梢「凄いわね……それに今度は黄色い流星痕……」
梢「さっきの星が私なら、今の星は花帆さんかしらね」フフッ
花帆「やった!梢センパイの星と同じ方向に流れて行きましたよ!」アハハッ
梢「……今まで見た中で最高の流星群になったわ」
梢「それを花帆さんと見ることができて良かった」ニコッ
花帆「梢センパイ……あたし、センパイと見たこの景色、一生忘れません」
梢「ええ、私も……」
――
梢「さ、そろそろ別荘に戻りましょうか」
花帆「…………」
花帆「あのっ!梢センパイっ……!」
梢「何かしら……?」
花帆「…………」
花帆「……星が、綺麗ですね」
梢「…………」
梢「そうね……このまま、明けの明星まで見ていきましょうか」ニコッ
花帆「……はいっ!///」
おわり
花丸よ!
A.インターネットで見たのだけれど…
明けの明星(みょうじょう)とは、明け方に東の空に輝く星のことを言います。このことから「明けの明星が見たいです」は、「あなたと一緒に朝を迎えたい」という意味になります。
「月が綺麗ですね」も「星が綺麗ですね」も、愛の告白と取れる意味を持つ言葉。しかし微妙なニュアンスの違いがあるので、切ない片思いをしている相手に対しては「星が綺麗ですね」を使うと良いでしょう。
次回作も期待してるわね
サンキュー神
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