花帆「梢センパイ!?」
梢「だ、大丈夫よ……紅茶が気管に入りかけただけ」ゴホッ
梢(落ち着きなさい、乙宗梢……先ずは冷静に状況を見極めるの、先走ってはいけないわ)
梢「それで、急にどうしたというのかしら?」チラッチラッ
花帆「それがですね!休憩時間にスクコネのアーカイブを適当に流してたら怖い話の配信をしてて……」
梢「もうそういう季節だものね」
花帆「あんまり怖いの得意じゃないんですけど、お話を聞いてるだけならそんなに怖くないと思ってたら……」
花帆「最後のオチのところで、急にでっかい音と一緒に怖い画面がどーん!って出てきて!!」ブルブルッ
花帆「練習中は気が紛れて平気だったんですけど、それも終わって日が暮れて来たら急に怖くなって来ちゃったんです……」ウルウル
梢(想像していた展開とは少し違ったけれど……私の中の“花帆さんにそういうのはまだ早いお姉さん”も花帆さんにそういうのはまだ早いと言っているわ)
花帆さんにそういうのはまだ早いお姉さん「花帆さんにそういうのはまだ早い」
花帆「はい……?そういうのって?」キョトン
梢「いいえ、何でもないの」コホン
花帆「あの……やっぱりダメですかね?寮の規則とか……」ウルウル
梢「原則として褒められたことではないのだけれど……」
梢「夏休み期間中は暗黙の了解で、夜間の部屋の移動も多少は緩和されるわね」
梢「ええ、いらっしゃい」ニコッ
花帆「やったぁー!梢センパイだーい好き!!」ギュッ
梢「あら、ふふふっ」ナデナデ
梢(これは飽くまで可愛い後輩の悩みを聞いているだけ……やましいことなど無いわ)
梢「そう、決してやましいことは無いの」キリッ
花帆「梢センパイ……?」
梢「こっちの話よ、さぁ行きましょうか」ニコッ
――
花帆「お邪魔しまーす!」
梢「いらっしゃい、今お茶を淹れるわね」
花帆「わぁーい!」
梢「そろそろ恐怖心は落ち着いてきたかしら?」
花帆「ここで梢センパイが待っててくれてるって思ったら、何とかなってきました!」
花帆「ここまでの廊下が薄暗くて、少しだけ小走りで来ちゃいましたけど」エヘッ
梢「寮母さんに見つかると大変だから気をつけるのよ、はい、どうぞ」カチャ
花帆「あっ、いただきまーす!」
梢「それにしても花帆さんが、ここまで怪談に弱いとは思わなかったわね」フフッ
花帆「梢センパイはお化けとか怖くないんですか?」
梢「それに仮に存在したとしても、鍛え上げた筋肉の前では無力よ」ムキッ
花帆「おぉー……」ツンツン
梢「ひゃっ///か、花帆さん?///」ビクッ
花帆「ここ上腕二頭筋?って言うんでしたっけ?パッと見は細いのに触ってみると確かに硬くて凄いです!!」ツンツンペタペタ
梢「そ、そうかしら……///」ビクン
花帆「そうだ!腹筋!腹筋ってどうなってるんですか!?触ってみたーい!」キラキラ
梢「仕方無いわね……///」フンッ
花帆「失礼します……!凄い!こっちも硬い!!」サスサス
梢「んっ///♡花帆さんっ///♡」ビクッ
梢「か、花帆さんっ?///♡そろそろ……んっ///♡」ビクビクッ
花帆「あっ!ごめんなさい!つい夢中になっちゃって……えへへ」
梢(花帆さんにその気は無いとわかっていても、つい昂ぶってしまったわ……///)
花帆「あたしなんて梢センパイに比べたらまだ全然プニプニで……あ、触ってみます?」
梢「っ!?」ドキッ
梢(違う、違うわ乙宗梢……これはそういうアレではないのよ、勘違いしてはいけないわ)
梢「そうね、失礼するわ……」ゴクリ
梢「これは……」ペタペタサスサスプニプニスリスリ
梢「どこに触れても柔らかくて吸い付くような肌ね……やめ時が分からなくて困るのだけれど」ペタペタサスサスプニプニスリスリツンツンモチモチ
花帆「こ、ずえセンパイっ!♡あたしっ♡……もうっ♡」ビクビクッ
梢「はっ……!私ったら、ごめんなさい」
梢(危うく自制が効かなくなるところだったわ……気をつけないと)
花帆「はぁ……♡はぁ……♡……あともうちょっとだったのになぁ♡」ボソッ
梢「花帆さん?」
花帆「あっ!何でもないです!」
梢「そうね、もういい時間だしそろそろ寝ましょうか」
花帆「はーい!」
梢「同じベッドになってしまうのだけれど、問題無いかしら?」
花帆「ありがとうございます!床に転がされても文句言えない立場なので!」
梢「もう……そんなことさせるはず無いでしょう?」フフッ
花帆「えへへっ」
梢「さ、いらっしゃい」ポンポン
花帆「お邪魔します……よいしょっと」ズリズリ
梢「それじゃあ明かりを消すわね」
花帆「うぅ……暗くなったらまた怖いの思い出してきちゃいました」ブルブル
梢「私と私の筋肉を信じていれば、怖いことなんて何も無いわ」キリッ
花帆「うぅ……それじゃあ、もうちょっとそっちに寄って良いですか?」ウルウル
梢「えぇ、いらっしゃい」ニコッ
花帆「梢センパーイ!」ギュゥゥッ
梢「///!?」ドキッ
梢(花帆さんは怯えているだけなのだから……変な気を起こしてはいけないわ///)
花帆「すみません……普段ぬいぐるみ抱っこして寝てたりして、落ち着くっていうか……その……///」ギュッ
梢「良いのよ、気にしないで、私はぬいぐるみなのだから(心頭滅却)」
花帆「ふふっ、ありがとうございます♡」ギュゥゥッ
――
花帆「むにゃ……さやかちゃん……梢せんぱいってね……たまにね……びーばーみたいに……むにゃ……」ギュゥゥ
梢(花帆さんは上手く眠れたようね……)
梢(問題は私の方なのだけれど……)
梢「…………」モゾモゾ
梢(完全に抱きまくら状態で、花帆さんの色々な部分が、私の色々な部分に当たってとんでもないことになっていて……)
梢(これは……もう仕方がないのではないかしら?)
梢(我ながらよく我慢した方だと思うの……)
梢(だから、もうこのまま……)
梢「……!」
梢(それは“甘え”では無いのかしら?)
梢(こんなにも可愛い寝顔を晒す後輩の寝込みを襲うだなんて……)
花帆「こずえせんぱぃ……だぁいすき……♡」ムニュッ
梢「私も愛しているわ花帆さん、今ここに愛の誓いを立てましょう」ジリジリ
梢(いけない、いけないわ……未来の自分に誇れる私でありなさい、乙宗梢……)
花帆「せんぱぁい……」ググッ
梢(花帆さんの顔が近づいて来るっ……!?このままだと必然的に……)
梢「っ!」スッ
梢(危なかったわ……口づけはいつか私が想いを伝えるその時まで待っていてね、花帆さん)
梢(外が明るい……もう夜が明けたのね……)
花帆「んんっ……ふわぁ……おはようございまぁす……」
梢「お、おはよう花帆さん……」ゲッソリ
花帆「あれ?梢センパイなんだか疲れてます?」
梢「ええ、そうね……金縛りに遭ってしまったみたい……」
花帆「金縛り!?大変!……ってことは眠れてないんですか!?」
梢「大丈夫よ、心配要らないわ」ニコッ
花帆「その大丈夫は大丈夫じゃないときのヤツですよ!分かるんですから!」フンスッ
梢「いえ、あの……それだと余計に……///」
花帆「次はもうちょっと強めに行かないとダメかなぁ……」ボソッ
梢「花帆さん……?今何か……?」
花帆「いえいえ!何でもないです!何でも!」アハハッ
花帆「ほら!それより梢センパイはちゃんと寝ないと!」ギュッ
花帆「今度はあたしが守りますからね!安心しておやすみして下さい!」ギュギュッ
梢「か、花帆さん……これだと逆に眠れないのだけれど……///」
おわり
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